1.
ゼミの紹介
このゼミでは日本の文学作品を選び、ていねいに分析しながら読んでゆきます。作家はテーマをしっかりと設定し、それがきちんと伝わるよう構成や筋を練って、何度も推敲を重ね、原稿を書きあげます。当然、読む側も大まかに展開を追うのではなく、一つひとつの言葉を細かく緻密に見てゆくことで、作品のなかに隠された意図を明らかにできるはずです。日本の文学を、きめ細かく、かつ合理的に読むこと。それがこのゼミの目標です。
2.
教員の専門とゼミの関連性
ぼくが研究対象としているのは、鎌倉・室町時代の和歌です。なかでも当時の作品に漢文学がどのような影響を与えたかという点に興味を持っています。このため、ゼミでは古典や古典とかかわりのある近現代の作品を扱うことが多いのですが、卒論では学生のみなさんに自由にテーマを選んでもらっています。講義では主に国文学(日本文学)や比較文学に関する話題を取りあげており、国語科の教職課程でもいくつかの授業を担当しています。
3.
身につく力
「身につく力」はありません。ぼくが講義やゼミのなかでみなさんに伝えたいのは、文学は実用的な目的のために存在しているのではない、ということです。「何かの役に立たなくてはならない」という貧乏くさい考えを捨て、この生を楽しむために『高慢と偏見』や『新古今集』が存在します。「身につく力」という狭い視点から人生をはかることが、いかに愚かであるか。それを理解できれば、大学に学んだ甲斐もあろうというものです。