1.
ゼミの紹介
ゼミでは小説や詩、映画の構造分析やテクスト分析の「練習」をします。要するに、作品から受けた驚きや感動の根拠を作品の中に見つけ出す練習です。本や映画に接して泣くほど感動することがありますが、いったい何にそれほど感動したのでしょうか? 良い作品とダメな作品はどこが違うのでしょうか? 作品の「構造」が様々な意味と効果を作り出していることを、輪読やグループごとの話し合いを通して、実際的に学びます。
2.
教員の専門とゼミの関連性
中心的な研究対象は近現代に書かれた英語の詩です。アイルランドの大学院では著名な詩人の下で学びました。しかし、もっと古い時代の作家や、英語圏以外の作家についても比較のために研究しなければならず、さらには言語学や哲学の知見も必要になり、いい年をして「勉強」ばかりしています。しかし、作品の美の秘密を少しずつ明らかにしていく研究には、冒険と同じような、ワクワクする愉しさがあると思っています。
3.
身につく力
漱石や芥川龍之介、あるいはシェイクスピアやジブリの作品を精密に分析するのに必要な能力は、基本的には近代科学に必要な能力と同じです。つまり、「観察」を通してデータを「収集」し、入手した情報を適切に「分析」して、有意味な特徴を見出すことです。したがって、テクスト分析を通して身につく力の筆頭は、合理的かつ論理的な知的態度です。次に、言語芸術は、主観的な感情を客観的な言語を用いて表現する営みなので、文学作品に知的に接することにより、自分の感情を客観的に把握する力を伸ばすことができます。
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最近の演習で使った教材の一部