実践演習II(鈴木ゼミ)で外部講師から神戸市の多文化について学びました

2024年10月8日(火)、鈴木遥講師の担当する実践演習IIで、外部講師を招いて神戸市における多文化について学びました。

外部講師を務めたのは、神戸市内で料理屋を営むネパール出身のPadhya Darma Raj氏(以下、ダルマ氏)でした。同氏の講演は、神戸学院大学人文学研究科で、神戸市における外国人居住の歴史について研究する修士2年三葉龍祐さんのご協力のもと実現しました。

講演では、はじめに三葉さんから、神戸市における外国人の居住状況について、ご自身の実体験に基づいて話題提供をしていただきました。三葉さんは社会人院生であり、仕事をする中で、ネパールやベトナムをはじめ、様々な留学生と関わる機会がありました。そのことをきっかけに留学生との交流が始まり、彼ら・彼女らが神戸でコミュニティの一員として安心して暮らせるよう、文化体験や人々との交流の機会を作る活動を続けてこられました。外国人をサポートし、交流を続けられている三葉さんの姿勢は、神戸の多文化の根底にあるべきものでしょう。

留学生との交流について話す三葉さん

留学生との交流について話す三葉さん

続いてダルマ氏から、ネパールの文化や暮らし、来日してから現在までの生活について話をしていただきました。ダルマ氏はネパール西部の山間部に生まれ、ネパールで大学を卒業した後、よりよい就業機会を求めて日本に来られました。
来日してから現在まで、ダルマ氏は、一貫して何事にも努力を続けてこられました。来日して最初に住んだ場所は沖縄でした。はじめて海をみたこと、言葉がままならない中で苦労しながらアルバイトと勉学を続けたことなどが語られました。日本語学校卒業後は専門学校に進学され、その後、大学に進学するために神戸に来られました。はじめて神戸にやってきた時、とても寒く、心細かったそうです。
神戸での大学在籍中、ダルマ氏は、勉学のみならず、様々なボランティア活動などにも精力的に取り組みました。神戸で学んだ災害経験を母国ネパールに伝える活動なども行いました。大学卒業後は、一度は就職をしましたが、起業することを決心し、多く人々のサポートのもとにネパール料理のお店を開きました。さらに2024年には、「人々が集う場所をつくりたい」という想いから、沖縄料理とネパール料理を提供する居酒屋も開店しました。

神戸市での生活について話すダルマ氏

神戸市での生活について話すダルマ氏

講演後、学生からは様々な質問や感想が出ました。例えば、「語学を習得するコツは何か?」という質問に対して、ダルマ氏は、「間違っていてもいいから話すことが大切。どの場面でどの言葉を使うかということは、話さなければ身につかない。間違っていたら正しい言葉を教えてもらえるから大丈夫」とアドバイスを返しました。
学生の感想には、「異なる文化背景をもつ人が新しい環境に適応し、自分の目標を追い求めることの難しさが伝わってきた」、「本気で人生を変えようと決意すれば何でも人間はできるのかなと思った。将来の自分は想像もつかないが、ダルマさんのようにやりたいことを見つけて後悔のない生き方をしたい」などがありました。
三葉さんとダルマ氏から話を伺い、日本人が外国人を支援することの大切さや、努力を重ね日本での生活を切り開かれている外国人がいることなどを知り、神戸市における多文化について理解を深めることができました。