2025年7月5日(土)、人文学部の中村健史准教授が明石市大蔵地域の古民家「明石ハウス」にて「稲光 稲妻 やむことなし―稲爪大明神の物語―」と題する講演を行いました

中村健史准教授が「稲光 稲妻 やむことなし―稲爪大明神の物語―」と題して講演を行う様子

中村健史准教授が「稲光 稲妻 やむことなし―稲爪大明神の物語―」と題して講演を行う様子

 

 2025年7月5日(土)、本学が地域連携活動拠点として使用している明石市大蔵地域の古民家「明石ハウス」(大塩邸、明石市都市景観形成重要建築物)において地域研究センター主催「大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ2025」が実施され、人文学部の中村健史准教授(同センター研究員併任)が「稲光 稲妻 やむことなし―稲爪大明神の物語―」と題する講演を行いました。
 明石市大蔵本町に鎮座する稲爪神社は室町時代にさかのぼる古社ですが、織田信長の播州攻めによって社伝の記録をうしなったため、江戸時代なかごろに新しく「稲妻大明神縁起」を作成し、神社の由緒を記しています。中村准教授は講演のなかで、「稲妻大明神縁起」執筆の際に参照された軍記『予章記』との比較を通し、稲爪神社の由来として語られる小千益躬(おちのますみ。「越智益躬」とも)の鉄人退治が越智氏の家系伝説に依拠していることを指摘。また益躬が大蔵谷で鉄人を退治する際、三島明神(稲爪明神)が稲妻とともに出現し、神助を与えたという伝説は『予章記』に出てこない内容であるため、江戸時代の大蔵谷に伝承された「言い伝え」が縁起のなかに採用された可能性がある、とも述べました。

 

 本学有瀬キャンパスの位置する神戸市西区は旧明石郡の一部であり、キャンパスから稲爪神社までは直線距離にして3kmほどしかありません。有瀬キャンパスそのものが稲爪神社の氏子地域に含まれることもあり、本学人文学部・地域研究センターでは、長らく稲爪神社を中心とする大蔵地域において地道なフィールドワークや地域連携活動を続けてきました。

 

 今回の「大蔵谷ヒューマンサイエンスカフェ2025」はそうした活動の一環として、7月5日(土)・6日(日)に行われる稲爪神社夏祭に合わせ、地域の方々に研究成果をひろく公開するという目的で実施したものです。当日は、明治末期に建てられた風情ある古民家に20名を超える方々が足を運んでくださり、1時間近い講演に熱心に聞き入ってくださいました。
 講演後には質疑応答も活発に行われ、「明石ハウス」の向かいに位置する大蔵八幡社(穂蓼八幡社)が越智益躬を祭る神社であることなど、地域にお住まいの方々ならではの情報を交換する場ともなりました。地域研究センター及び人文学部では、今後もこうした催しを継続し、人文知に基づく地域研究の成果を積極的に社会・地域に還元してゆきたいと考えています。

講演を熱心に聞き入る、20名を超える参加者の皆様

講演を熱心に聞き入る、20名を超える参加者の皆様

 なお、夏祭の開催に合わせ稲爪神社社頭では人文学部の学生たちがフィールドワークの一環として撮影した写真の展示が行われています。夏祭の期間後もしばらくの間、展示はつづきますので、ご観覧いただければ幸いです。引き続き地域研究センター及び人文学部では、稲爪神社、大蔵地域に基盤を置いた各種の活動を行ってゆく予定ですので、興味をお持ちの方は地域研究センターウェブサイト(https://card-kobegakuin.jp/)をご確認ください。

 

※関連する記事が下記のサイトにも掲載されているのでご覧ください。

地域研究センターウェブサイト
神戸学院大学ウェブサイト