人文学部の人類自然誌II・基礎演習・実践演習IIで、インドネシアの研究者3名が特別講演を行いました

村落の観光化の説明を聴く学生

2023年10月3日(火)と4日(水)に、人文学部の人類自然誌II、基礎演習、実践演習IIで、インドネシアの研究者3名が特別講演を行いました。

 

講演したのは、インドネシア・リアウ州ブンカリス県にあり、国立の高等教育機関であるPoliteknik Negeri BengkalisとSekolah Tinggi Agama Islam Negeri Bengkalisの講師3名でした。両学校名は、日本語に訳すと、ブンカリス国立専修学校とブンカリス国立イスラム宗教学校です。今回の招聘は、人文学部鈴木講師が取り組む、インドネシア沿岸地域における人々の暮らしと自然環境との相互関係に関する研究活動の一環として行われました。研究会や共同研究に向けた打ち合わせなどの合間を縫って、今回の特別講演が実現しました。講演はインドネシア語と英語で行われ、鈴木講師が通訳しました。

 

特別講演では、ブンカリス県沿岸集落の伝統文化を生かした観光、その中での地域の経済発展、地元大学の役割について話をしていただきました。ブンカリス県は、マラッカ海峡沿いの沿岸に位置し、海、川、マングローブの森という豊かな自然環境とともに、ムラユ民族の豊かな文化が継承されてきている地域です。近年、インドネシア政府は、国の観光化を推し進めており、村落レベルでは、伝統的な文化を生かしかつ経済発展も成し遂げうる観光業の仕組みづくりが目指されています。特別講演では、こうした観光に関する社会的文脈の中で、ブンカリス県で行われている観光化に向けた取り組みや地元大学の役割などについて、具体的な文化の紹介を交えて話していただきました。

 

学生たちは、民族衣装の織物を手に取り、植物や果物などをイメージした伝統的な模様が織り込まれているなどの説明を受けました。また、観光化の中で注目されつつある手工芸の一つであるニッパヤシを編んで作られた籠も紹介され、沿岸集落に暮らす女性が古くから作ってきたもので、彼女たちにとっての重要な収入源でもあることを学びました。さらに、地元大学では、政府や企業と連携した活動が盛んに行われていることが紹介されました。講演の最後には、講師の一人がインドネシアの伝統的武術Silatを披露しました。

 

特別講演を聴いた学生たちからは、「プレゼンが上手で驚いた」「日本と違う点が多かったが、共通点もあり興味をもった」「籠の手触りは竹細工に近いと感じた」など、様々な感想が聞かれました。世界には多様な文化があり、多様な価値観があることを学生のみなさんが実感するための一機会となりました。

 

今回の招聘は、科研費(21K20076)の助成により行いました。

 

村落の観光化の説明を聴く学生

村落の観光化の説明を聴く学生

籠づくりの方法や社会経済的価値について説明する講師

籠づくりの方法や社会経済的価値について説明する講師

大学、政府、企業との連携について説明する講師たち

大学、政府、企業との連携について説明する講師たち

織物や籠を手にしての集合写真

織物や籠を手にしての集合写真