1年生の演習で、実務家による第三者介入に関する講演会を行いました

講演会の様子
2025年7月16日、1年生前期の演習科目「人文入門演習」において、人文学部大原良通教授と同学部鈴木遥講師のゼミが実務家による講演会を合同で開催しました。

講演者の田中めぐみ氏
講演会のタイトルは、「やってみよう!ノートテイクと“第三者介入”」でした。講師は、ジェンダー平等などに関する政策提言や普及啓発などを行っている「一般社団法人あすには」で教育研修チームリーダーを務められている田中めぐみ氏でした。「人文入門演習」では、大学での学びの基礎的知識や技術、マナーなどを学んでいます。本講演会は、この中の取り上げている「ノートテイキング」と「ハラスメント」について理解を深めることを目的に実施しました。
田中氏の講演では、「自分の感情を知り、大切にし、自分の安全を第一にしながらハラスメントに対し勇気をもって対応する」ことが分かりやすく解説されました。講演の内容は、主に、「グラフィックレコーディングを活用したノートテイク」「アサーション」「自分と他者の境界線」「第三者介入」の三点でした。講演の合間に、ノートテイクの練習や受講生間での意見交換の時間が設けられ、受講生は楽しみながら講演を聴くことができました。

受講生のグラフィックレコーディング
「グラフィックレコーディングを活用したノートテイク」では、文字だけでなく、絵を使って聞いた話を要約したり、その時の自身の感情を記録する技術を学びました。丸や四角など単純な形だけで様々なものや概念を描けることを学び、受講生たちは思い思いに絵を描いてみました。また「感情を記録することは時として自身が置かれている社会環境に自分が不満を抱いていることなどを自覚することにつながる」と、田中氏は自身の経験を交えながら伝えました。
「アサーション」では、自身の感情を大切にし、かつ相手も尊重しながらお互いの関係を築くという考え方を学びました。このことは、「自分と他者の境界線」にも深く関わります。「自分と他者を分ける境界は一本ではなく、自分の価値観と相手の価値観の二本である。自分の価値観で相手を判断しそれに基づいて相手を非難することが境界線の侵害となり、ハラスメントへと発展する可能性がある」と田中氏は伝えました。その後、田中氏から示された友人間での遊びの約束に関する事例について受講生同士で意見交換を行いました。これにより、受講生は身近な問題としてこのことを学ぶことができました。

冊子を示しながら第三者介入について説明する田中氏
最後に、「第三者介入」について、ハラスメントが疑われる場面に遭遇した時に第三者としてどのようなことができるかを学びました。問題の行為に対し直接的に注意する方法だけでなく、気をそらすような行動をするなど、その場の流れを変える方法があることなどを学びました。田中氏は、「大切なことは自分の安全を第一にして、問題に対応すること」と受講生に伝えました。
本講演会は、ノートテイキングの意義、第三者介入というハラスメントへの対応への理解を深める機会となりました。また、ノートテイキングやグループディスカッションなど、「人文入門演習」における半年間の学びの振り返りにもなりました。