中村健史准教授が『竹取物語』を題材に講義を行いました

現代の絹に触れて大伴御行が家来に持たせた絹を想像しました

8月6日(日)、明石市大蔵本町の稲爪神社で複合型交流拠点ウィズあかしの企画する連続講座「あかし楽講座」が実施され、人文学部の中村健史准教授(国文学)が『竹取物語』を題材に講義を行いました。

 

今回、実施された「あかし楽講座vol.1」は3回連続のワークショップ型講座で、小学生とその保護者に向けて古典の楽しさを伝える企画。中村准教授が担当した第2回は「どうする?! 竜の首の玉」と題して、『竹取物語』のうち大伴御行が登場する場面を読みました。
かぐや姫から「竜の首の玉を持ってくれれば結婚します」という約束を取りつけた大伴御行は、みずから船に乗りこみ竜を求めて出航しますが、嵐にあって明石に漂着します。

中村准教授は実物教材や絵巻物の複製なども利用しつつ、小学生に向けて分かりやすく大伴御行の物語を解説。その人物像を「怒りっぽく、勇敢で自信満々。早とちりで自分勝手なキャラクターだが、家来たちに意外なやさしさや人のよさを見せたりもする。いったん嵐に巻きこまれると、泣き言を口にするばかりで何の役にも立たない、滑稽で情けない人物だが、作者はそんな大伴御行を笑いものにしつつ、一方で共感をもって描いている」と分析しました。参加者は明石市、播磨町の小学生たちで、中村准教授の解説を聞きながら、熱心にメモをとっていました。

 

講演の後半では、明石に漂着する場面に注目し、『竹取物語』の描写を通じて明石がどのように描かれているかを分析。小学生たちは自分たちの住んでいる地域が登場することに興味津々の様子でした。中村准教授からは子供たちに「なぜ大伴御行の一行は漂着したのが明石の浜だとすぐに気づいたんだろう?」というクイズが。答えを探すために、稲爪神社を離れて大蔵海岸へフィールドワークに向かいます。
夏のさわやかな日ざしのもと、明石海峡を望む海岸に参加者が到着すると、中村准教授から「瀬戸内海でもこれだけ対岸の島(淡路島)が大きく見えるのは明石だけ。こんな特徴的な地形だから、嵐のなかを何日も漂流した人々も着いたのが明石だとすぐに気づいたのでしょう」と種明かし。小学生たちは納得した様子で家路につきました。
後半のフィールドワークには人文学部の矢嶋巌教授(地理学)も参加し、海岸にいたる道筋で大蔵地域の歴史や地理的特色について解説を行い、充実した講座になりました。なお、この日の様子については8月7日(月)付「神戸新聞」朝刊に記事が掲載されています。
神戸学院大学の立地する西区伊川谷町は旧明石郡に含まれ、本学と明石には深いつながりがあります。人文学部ではこうした地縁を生かし、積極的に地域研究・地域連携を進めています。今回の「あかし楽講座」は、まさしくそのような地域貢献の一環であるといえるでしょう。

なお、こちらのサイトにも記事があります。

現代の絹に触れて大伴御行が家来に持たせた絹を想像しました

現代の絹に触れて大伴御行が家来に持たせた絹を想像しました

都と大伴御行が漂着した明石の位置を地図で確認しました

都と大伴御行が漂着した明石の位置を地図で確認しました

大蔵海岸で淡路島が大きく見えることを確認しました

大蔵海岸で淡路島が大きく見えることを確認しました