「たこ文庫×神戸学院大学ワークショップ—ゲーム感覚で本を紹介しあおう―」が開催されました

グループでゲームを楽しむ参加者の様子

グループでゲームを楽しむ参加者の様子

本イベントは、本学地域研究センター教員(金益見准教授(社会学)、鈴木遥講師(地域研究)、曽我部愛准教授(日本史学)、中村健史准教授(国文学)、福島あずさ准教授(気象学・気候学)、矢嶋巌教授(人文地理学))と人文学部の学生が中心となって運営しました。

 

「たこ文庫」とは、同図書館の1周年を記念して開発されたカードゲームのこと。カードに書かれたお題に沿って、自分が読んだことのある本を紹介することで、他己(タコ)紹介に繋がるというゲームです。
同館職員の嶋田楓さんから「会話がどんどん広がるので、館に新しく入ったスタッフには、必ずこのゲームで遊んでもらっています」と紹介があると、参加者からは驚きの声が上がりました。

 

※「たこ文庫」の詳細は、こちらのリンク【https://takobunko.com/】をご参照ください。

 

続いて、参加した教員から自己紹介を兼ねて「将来を決めた一冊」を紹介しました。これは、「たこ文庫カード15」のお題です(教員の紹介した本は、記事の末尾に一覧を載せています)。
それぞれの専門領域に進むきっかけになった本から、なかには、幼少期に何故か自分の本棚に入っていた本など、バラエティに富んだ紹介で、参加者の緊張も次第にほぐれていきます。

 

この後、和やかな雰囲気でスタートした「たこ文庫」。いよいよ、参加者のみなさんや教員、学生が5グループに分かれ、順番に1枚ずつカードを引きはじめました。

 

とあるグループの一幕。1人の参加者が、お気に入りの漫画を紹介したところ、「その作者ってもしかして〇〇(別の作品)の人ですか?」と会話が広がります。「そうそう!」「明石の近くの舞子や垂水の風景が出てきますよね」と、参加者同士の話が繋がり、思わずグループ全員から笑顔がこぼれました。

グループでゲームを楽しむ参加者の様子

グループでゲームを楽しむ参加者の様子

ゲームを楽しむ参加者の様子

ゲームを楽しむ参加者の様子

ゲームを楽しむ参加者の様子

ゲームを楽しむ参加者の様子

本を紹介するゲームというと、「私はあまり本を読まないから」と気が引ける方もいらっしゃると思います。でも、「たこ文庫」には「途中で読むのを諦めた一冊」や「飾っておきたい一冊」「ずっと読んでいた雑誌」など、工夫が凝らされたお題が散りばめられています。このお題なら、普段本を読まない人でも、なんだか答えられる気がしてきませんか?

 

ゲーム中は、参加者のみなさんが小説や漫画、絵本など、ジャンルにとらわれないとっておきの本たちを紹介していました。紹介者も、話しを聞く方もキラキラと目を輝かせる時間が流れます。

 

このように、誰かの「好き」という気持ちを尊重する姿勢は、誰もができることではありません。しかし、自分の「好き」という気持ちを誰かに聞いてもらうことで、きっと尊重の輪が広がっていくはずです。人文学部では、そんなひとりひとりの「好き」をとことん追及する姿勢を大切にしています。

 

1人あたり2~3回程度カードを引いたところで、グループワークが終了しました。図書館が用意した専用の用紙に、紹介した本について文章でまとめる時間が設けられました。この時みなさんが書いた用紙は、しばらくの間、同図書館で掲示してもらうことになっています。

 

最後のまとめとして、矢嶋教授が今回の「たこ文庫」ワークショップについて「本を媒介にすると、今日初めて会った人とも言葉が通じました。それがすごく面白かった」「自分が学生時代の友人と、当時流行った本で今でも話に花が咲くように、本は時間をも超えて話せるツールです」「みなさんがこれから読む本は、この先繋がったり、時にはバラバラになったりしますが、いつか自分の一部になります。『たこ文庫』をきっかけに、いろんな本や人と出会って欲しい」と、締めくくりました。

 

参加した高校生は「もともとたこ文庫のことは知っていましたが、今回はじめて実際に触れることができました。大学生と交流できて、本を通して新しい世界を発見できました。」と話していました。
また同じグループだった本学の学生からは、「バランスの良いお題が揃ったゲームで、楽しく交流できました。」「高校生が紹介した本から良い刺激を受けました。」といった声が寄せられました。(一部の写真は、あかし市民図書館提供)

 

【教員の「将来を決めた一冊」】
金益見准教授(社会学):金益見『ラブホテル進化論』(文春新書 2008)
研究の道に進むきっかけとなった一冊。

 

鈴木遥講師(地域研究):コンラート・ローレンツ『ソロモンの指環』(早川書房 1987)
幼少期の教科の勉強には無い新たな分野・領域に気付かせてくれた一冊。

 

曽我部愛准教授(日本史学):上田秋成/石川淳訳『新釈雨月物語、新釈春雨物語』(ちくま文庫 1991)*ほかにも色々な現代語訳があります
自分の推しであり研究対象に出会った一冊。

 

中村健史准教授(国文学):褚遂良『雁塔聖教序』(二玄社 1987)*ほかにも色々な影印があります。
物事はバランスが取れているものばかりが美しいのではないと気付いた一冊。

 

福島あずさ准教授(気象学・気候学):小野有五『ヒマラヤで考えたこと』(岩波書店 1999)
日本とは違う世界の文化に自分も関わってみたいと思わせてくれた一冊。

 

矢嶋巌教授(人文地理学):河野通博『光と影の庶民史:瀬戸内に生きた人びと』(古今書院 1991)
自分のやりたかったことを再確認させてくれた一冊。

 
※地域研究センターサイトの記事は こちら
※神戸学院大学公式サイトの記事は こちら