第26回人文学会研究会と2021年度学術講演会が開催されました

2021年10月2日(土)に、人文学会第26回研究会と学術講演会がオンライン(Zoom)で開催されました。研究会は午前の部4名と午後の部6名が報告し、教育、歴史、地域、文学といった多様な分野で研究成果が披露されました。研究会の発表者と演題はこちらをご覧ください。

 

学術講演会では、ドイツ近現代史・ジェンダー史をご専門とする姫岡とし子先生(東京大学名誉教授)に、「優しい男性・戦う男性――ドイツの近代社会とジェンダー」と題してご講演いただきました。近代市民社会では男性は力強く理性的で、女性は控えめで愛などの感情に動かされがち、などといった二項対立的なジェンダー観が成立したとされますが、実は18世紀の啓蒙時代の教養市民層の間では、男性は家庭のことに積極的で、娘の教育に熱心で、しばしば感情をあらわにして涙を流すことが美徳とされました。そこには退廃的で家庭を顧みない貴族の価値観に対する批判的な観点があったのです。本講演で姫岡先生は、本来の市民層のジェンダー観は二項対立的ではなく、「優しい男性」と「戦う男性」の間で揺れ動き、共存すらするものであったことを明らかにされました。
 
 

本講演会には約80名にご参加いただき、大変活況を呈する会となりました。会員以外の一般参加の方からも多くのご質問をいただき、活発な質疑応答がなされました。今回の学術講演会の内容は、後日刊行される雑誌『人間文化』第51号に収録される予定です。 
 
 

 

学術講演会のオンラインミーティングの様子

学術講演会のオンラインミーティングの様子