2023年9月号

お客様の声とスタッフとを繋ぐことが、フロントの大事な仕事

今回は、神戸学院大学人文学部第一期生の雪山一仁さんに、お勤め先のホテルルートイン加西北条の宿でお話を伺った。

なぜこの会社に入社されたのですか?

もともと接客が好きで、神戸学院大学在学中もゴルフ場のキャディーのアルバイトをしたり、居酒屋さんでアルバイトをしたり、接客に携わる仕事をずっとやってたんですね。ルートインに就職したのは2014年で、大学を卒業してから16、7年経った後です。
それまでは営業の仕事をしたりしてたんですけど、やっぱり接客というところに凄く惹かれていて、仕事をどうしようかなと考えている時に、ちょうどルートインの小野がオープンするということで応募して、入社してもうすぐ10年になるというところです。この仕事をやろうとしたきっかけは、接客でお客様に喜んでいただきたいというのが根本的な理由かなと思います。

ホテルのフロントというのは、どういうお仕事なのですか?

具体的な業務内容としては、予約の確認作業や部屋の清掃の指示出し、チェックイン・チェックアウト業務、日々の金銭の確認、その他の事務作業ということになります。
一般的にホテルのフロントって花形なイメージがあると思うんですが、実はそうではなくて、ホテル全体を運営するために、ハウスキーパーさんやレストランさんと相談しながら運営を進めていくというのが、フロントの大事な仕事です。表立って見える華やかさの裏に、そう見せるための努力が凄くあるんだということは、私もこの業界に入って初めて気づいた点です。
だからこそ、陰で持ち上げるっていうのが私は好きな性格なので、この仕事は自分にあっているんじゃないかなと思います。裏で、どれだけお客様のご要望に応えられるように準備していくかっていうのは、凄く大事だと思います。お客様の声とスタッフとを繋ぐこともフロントの大事な仕事だと思っていて、それをどのように情報共有して、お客様の満足に繋げていくかということを大切にしています。

お客様への対応で心がけていることは何ですか?

ホテルルートイン加西北条の宿自体は高級ホテル、リゾートホテルではなく、あくまでビジネスホテルであり、仕事で来られる方、出張で来られる方がほとんどなので、ゆっくりと休める時間を作ってさしあげることが大事だと思っています。心がけていることは、お客様に快適な空間を提供することです。そのために我々に何ができるのか、お客様が安心してお休みになる空間・環境をいかに陰で作っていくかというところを心がけて仕事をしています。

仕事にやりがいを感じるとき、大変だと感じるときは、どんな時ですか?

やりがいを感じるのはやっぱりお客様に感謝の言葉、「ありがとう」って言ってもらえたときですね。お客様がこうしてほしいと思うことを感じ取って、それを具現化していくことかなと思います。
逆に、やはりお客様の要望に添えなかったとき、当然無茶な要求をしてくるお客様も中にはいらっしゃいますけど、それをできる範囲でしっかりとお客様の要望には応えてさしあげるということは大変ですね。
ただできないことはできないとはっきり言うことも必要なので、それをお客様にご理解いただくためには、しっかりと根拠を示さなきゃいけない。「あれしてください」「無理です」では当然納得できない。やっぱりこういう理由があって無理なんです、ということを、お客様との会話はキャッチボールなので、お客様の心情を読みながら、こういう理由があって無理なんだということを納得してもらえるよう、駆け引きをしないといけない。
それは技術的にこうしたらいいよってものではなくて、それぞれの経験値がそうさせていくものだと思うので、こうだからできないと説明したり、できそうなことは代替案を出すということのために、ホテルを運営していくうえでの知識を蓄えていくのはすごく大変な部分ですね。

神戸学院大学での学びが活きていると感じるときは?

人文学部では西洋文化コースというところで英語を専攻していました。
人文学部は、ほんとにいろんな学問の勉強ができるというところが特徴的で、心理学、社会学、人類学といろんな授業を取りましたけど、その中でこの仕事をしていて活きているなと思うのは、専攻していた言語学です。
ペラペラ話せる訳ではないけど、海外のお客様がいらした時に、ある程度のコミュニケーションが取れるというところはすごく役に立っているなと思います。それから心理学を学んだことでお客様がどのように感じているのかとか、どのように考えているのかとか、そういうところに考えを巡らすことができる知識を蓄えられたのもよかったかなと思います。

今後の抱負を教えてください

ルートインのホテルは、これからいろいろな開業予定があります。今年10月にも加東市でオープン予定があります。近隣店舗ですね。
ホテルルートインの発祥は長野県上田市というところで、そこから始まって全国展開をして今335店舗(7月12日現在)オープンしています。ルートインのRouteは「道」という意味で、駐車場がしっかりあるところとか、高速道路のインターの近くとかそういったところで発展してきた企業になります。
会社の方針で国内海外含めて500店舗を達成しようという目標を掲げています。長野県上田市で発祥してから東日本には店舗が結構あるんですが、西日本への展開をこれからまだもっともっとしていくと思いますので、小野とか加西に籍を置いている私としては、西日本でオープンしていく中でしっかりと会社のために開業を支えていきたいと思っています。抱負として大きく言うと会社の発展ということになりますけど、個人的にはお客様の信頼を得られるようなホテルづくりをしていきたいと考えています。

学部生へのメッセージをお願いします

いろんな学びができるのが人文学部の最大の魅力だと、私は思っているので、自分のやりたいことはしっかりと芯に据えながら、いろいろな学問に触れて、知識を吸収して、社会に出たときにその知識を活かせるように頑張ってください。

取材後の感想

私も接客業のアルバイトをしていて、接客について新しい発見 がありました。それは、お客様からの要求に答えられない時に、なぜできないのかという根拠を示すことです。今回お話を伺うことで、そのような時の自分の対応の悪さに気がつき、自分の接客の仕方を見直す貴重な経験になりました。
 
高木日向子
 
 
同じ業界でアルバイトをしているので、今回お話を聞けたことは、凄く参考になりました。これからの自分の仕事の中でも活かしていきたいと思います。
 
三村瑞悠